科学者らの2chと呼ばれる「Jxiv」の運用が開始

arXiv(アーカイヴ)は、プレプリント・サーバーと呼ばれ、物理学、数学、計算機科学、数量生物学、数量ファイナンス、統計学、電子工学・システム科学、経済学の、プレプリントを含む様々な論文が保存・公開されているウェブサイトです。一般には馴染みがないかもしれませんが、論文のアップロード、ダウンロードともに無料で、学術出版社や大学図書館を介さずに研究者同士がインターネットを介して直接に論文をやりとりできる場としてとて有益なサービスです。

arXivは2021年1月現在で200万報以上の論文が保存されており、コーネル大学図書館が運営元となっています。毎月8,000報を超える論文が追加されています。プレプリントは専門家の査読を経ていない正誤・可否が確認されていない論文で、世界の研究者間の迅速な情報交換を可能にしています。ある学者は、arXivは科学者にとっての2ch(巨大掲示板)と表現する方もいるほどです。

日本では、arXivと同様のサービスを2022年3月24日から、「JXiv(ジェイカイブ)」として東京の政府運営の科学技術振興機構(JST)が運用を開始しました。研究成果の迅速な公開とオープンサイエンスの推進を目的としており、自然科学の分野のみならず、人文学・社会科学あるいは学際融合領域すべての研究分野に関連する未発表のプレプリントを、日本語または英語で投稿・公開することができるオープンアクセスのプレプリントサーバーです。投稿されたプレプリント(査読前の論文)は、JSTによるスクリーニングののち、数日以内に速やかに公開されます。

https://jxiv.jst.go.jp/index.php/jxiv

これらの分野には、日本語で出版されている膨大な数の論文があります。現在では、インド、ロシア、中国、インドネシア、アフリカには専用のリポジトリ(2022年6月現在)がありますが、Jxivは日本政府が支援の元での初めてプレプリントサーバーとなります。研究者はJxivに英語と日本語で原稿を投稿することができ、3月に開始されて以降、現時点で40本ほどの論文が投稿されています。

これらプリプリントサーバーの利点は、原稿が誰でも自由に読めるため、多くの国際的な読者に情報提供の場を与え、ジャーナルに投稿する前に専門家の意見を聞ける点にあります。これが、非公式のピアレビュー(査読)として機能し、ジャーナル投稿時の査読者の作業負荷を軽減することもできます。今後、日本での普及が期待されています。

プレプリントを投稿には、ResearchmapまたはORCIDのIDが必要です。

Jxivへの投稿の詳細は以下URLをご覧ください。
https://jxiv.jst.go.jp/index.php/jxiv/manuals

参照:https://www.nature.com/articles/d41586-022-01359-x

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